2014年12月19日

【ビギナーコラム第三回】今が旬の『しぼりたて新酒』

 皆さんこんにちは。

 師走のこの時期、酒蔵の軒下には新酒が出来上がった目印として「杉玉」が飾られます。

杉玉.JPG

 日本酒の多くは加熱殺菌(火入れ)されたものが一般的ですが、一度も加熱殺菌をしていない「生酒」も存在します。特に師走のこの時期には、「しぼりたて新酒」としてフレッシュな状態の「生酒」が多くの酒蔵から出荷されます。酒販店や飲食店で「しぼりたて新酒」を目にされた方も多いのではないでしょうか。

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※酒蔵によって「しぼりたて新酒」の表記が異なる場合があります。
※ここでの「しぼりたて新酒」は、加熱殺菌されていない「生酒」に限定します。
※「生貯蔵酒」や「生詰」といった別表記の商品や、炭酸ガスでシュワシュワしている商品は除きます。

~「しぼりたて新酒」について~

・基本的に酒蔵は秋から春にかけての寒い時期にお酒を造ることが多いので、冬に出荷されることがほとんど。
・夏でもお酒を造れる冷蔵設備を持っているごく一部の酒蔵が、夏にも出す場合もある。
・フレッシュな期間は短く、すぐに熟成(生熟成)する。
・生熟成が進むとどんどん甘くなり、特有の生熟成香が出てくる。
・貯蔵温度が高ければ高いほど、味の変化(熟成)も速いので、冷蔵管理が基本。
・分かった上で、あえて生熟成させたものを出す蔵元や酒販店、飲食店もある。
・スタッフの知識不足でただ放置されている場合もよくある。

 日本酒は、麹菌の作り出す糖化酵素の働きによってお米のでんぷんを糖に変え、それを酵母が食べてアルコールにしています。(この辺はまた改めてお話したいと思います)お酒造りの最後で「しぼる」ことによってお酒と酒粕に分離され、酵母は酒粕となるのでお酒のアルコール発酵は止まりますが、麹菌の糖化酵素は除去されずにお酒の中に残って生きています。そのため時間とともに甘く熟成されていきます。

 アルコール飲料ですので時間が経ったからといってお腹を壊すことは基本的にありませんが、「生酒」というくらいですから、生野菜と同じようにデリケートなものだと考えてください。

「しぼりたて新酒」のフレッシュさを楽しみたいのなら、必ず冷蔵庫で保管してさっさと飲んじゃうのが正解。でも、敢えて貯蔵温度を変えて生熟成を楽しむというのもまた一興かと思います。

「しぼりたて新酒」の旬は、まさに今です!!飲んでおかないと損ですよ(^^)